特別受益と寄与分
1.特別受益
共同相続人の中に被相続人から特別の財産上の利益を受けた人(特別受益者)がいる場合には、これを無視して各相続人の相続分を算定すると不公平になります。そこで、特別受益者がいる場合、すなわち被相続人から遺贈を受けたり、過去に(無期限)婚姻や養子縁組のために、また生計の資本として財産の贈与を受けている人がいる場合には、他の共同相続人の請求によって、被相続人の遺産にこの特別受益額を加えた額をもとにして各相続人の相続分を計算します。
特別受益者以外の相続人の相続分は、この計算による相続分となり、特別受益者の相続分は、特別受益分を減産したものとなります。これを特別受益の持ち戻し制度といいます。
2.寄与分
共同相続人のなかに、被相続人の相続財産を維持増加する上で特別に寄与した人がいる場合には、他の相続人との公平を図るため、遺産の分割に当たり、その相続人は遺産の中から法定相続分とは別枠で、共同相続人の協議で決めた寄与分を受けることができます。
寄与者がいる場合の相続分の計算は、被相続人の遺産から寄与分を控除した残額を基にして各相続人の相続分を求めます。寄与者以外の相続人の相続分は、この計算による相続分ですが、寄与者の相続分は、この計算した相続分に寄与分を加算したものです。